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90%がお好き

by 唐草 [2020/06/17]



 ぼくは限定的な環境で使うソフトを書くことが多い。例えば、社内の2つのデータベースを橋渡しするものや、論文を書くための実験に用いるものなんかを作ってきた。ソフトは無限にコピーできるデジタルデータの塊なのに1箇所でしか使われていない。そんな現実を目の当たりにすると、なんだか自分は一点物を作る職人のような気分になってくる。
 先週も一点物と呼ぶに相応しいソフトを書いていた。このソフトの導入によって、いままでは隔離されたネットワークにログインした管理者だけが複雑なコマンドを介してのみ実行できた特別な作業を誰もがWebからワンクリックで実現できるようになった。
 本当に何も考えずワンクリックするだけでいいのだが、どういう訳か世間の人々はろくに読みもしない説明書を要求してくる。納入側は分厚い説明書がついている方が嬉しいらしいので「ワンクリックします」ということを説明するだけなのに5ページのオンラインドキュメントを作ってやった。そのドキュメントには十数年に渡る説明書制作経験が活かされている。
 「誰も文字なんか読まない。見るのは絵だけである」
 これがぼくのたどり着いた真理である。だからぼくは画面に映ったボタンをキャプチャしてHTMLに何回も貼り付けていった。
 出来上がったドキュメントを見たら違和感があった。どう見てもボタンが小さいのである。印刷物なら実物と紙面上のサイズが異なることはよくある。でも、ぼくはWebサービスの説明書をHTMLで作っている。ピクセル数が同じなら絶対に同じ大きさになるはずだ。
 どう見てもドキュメント内のボタンが小さい。なぜだ?目の前の事実を理解できずにしばらく頭を抱えてしまっていた。
 散々悩んだ末に見つけ出した答はとても簡単なものだった。
 ぼくはブラウザの表示サイズを90%にしている。文字や画像を小さくすることで1画面の情報量を増やしているのだ。この状態で画面キャプチャをすると90%サイズの画像ができる。それを貼り付けたドキュメントをブラウザで開くと、さらに90%になる。実際の81%のサイズということだ。
 ドキュメントは縮小コピーを縮小表示しているという単純な事実に気がつくまで、30分も頭を抱えていたのである。どうやらぼくの脳もサイズが縮小してしまったようである。