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エコの顛末

by 唐草 [2020/06/05]



 今日は真夏日になるらしいという天気予報を小耳に挟んだ。ほとんど外出をしていないので季節感覚を失いかけているが、季節は止まることなく進み既に6月に突入している。ちょっと南風が吹き込めば真夏日になっても不思議はない時期である。
 この時期はまだ体が暑さに慣れていないので、気温が思いの外高くなくても熱中症になりやすいらしい。確かに季節の始めは暑さ寒さが体に堪える。温度計の数字を睨みつけて無意味な意地を張っていてもしかたがない。健康のために賢く冷房を使うのが現代的な生き方である。
 と言う訳で、今季初のクーラー稼働となった。
 シーズン初の運転なのでフィルターの掃除をしようと思ったのだが、昨年購入した新しいエアコンのフィルターが外せなかった。なんとなく敗北感を覚えながら説明書を読み返してみると驚愕の事実が記されていた。
 フィルターの自動清掃機能があるから外して掃除をする必要はなく、本体脇にあるゴミ受けに溜まったホコリを捨てるだけでいいとのことだ。なんてことだ。いつの間にかクーラーはここまで進化していたのか。購入して1年経って初めて知る時代の変化であった。
 早速クーラーを稼働させた。運転もすべて自動任せである。勢いよく吹き出す風にシーズン初めの頃特有のカビ臭さはなかった。自動清掃機能はちゃんと働いていたようだ。クリアな感じのする冷たい空気がどんどん部屋を冷やしていく。
 気がつけば、半袖だとちょっと肌寒いぐらいまで気温が下がっていた。自動運転にしては、だいぶ過激な冷房設定ではなかろうか?
 改めてリモコンを手に取り、小さな液晶画面を確認する。すると、そこには黒々とした大きな文字で「-3℃」と表示されていた。その表記を見てぼくは冬のことを思い出した。
 自動運転の暖房がぼくには暑すぎたので、標準設定から3℃下げて運転をしていた。-3℃設定はぼくにとって快適な温度だったし、地球にも財布にも優しいエコ運転でもあった。
 その設定のまま夏を迎えてしまった。標準より3℃低い冷房はエコとは正反対。冬のエコが、夏の暴挙へと様変わりしていたのであった。
 温度を標準まで戻した。すると冷房は止まってしまった。まだ、夏本番ほどは暑くないようだ。