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元に戻せ

by 唐草 [2020/05/26]



 当初の予定より1週間ぐらい前倒しで緊急事態宣言が解除された。これで危機が去ったと楽観的な考えを持っている人は少ないだろう。宣言の解除は、政治的・経済的な理由による後押しが大きいように思える。この2ヶ月間のように社会と個人が十分に注意を払えば、ウイルスを撲滅できていなくてもどうにかなりそうだという判断なのだろう。この先も当分はウイルス対策を意識した生活を強いられることになるだろう。
 宣言が解除されたということは、この素晴らしきリモートワーク生活も終わりを迎えようとしているということになる。ぼくは、未来永劫リモートワークを続けていきたいと心から願っている。
 今回の危機は硬直化した社会の仕組みに大きな変革をもたらす外部要因になると期待をしていた。もちろん大きな犠牲を払うことになるので諸手を挙げて大歓迎とは言えない。大きな犠牲の代償として、変化を忘れた社会の横っ面を引っ叩いて目覚めさせる効果があると思っていた。確かに横っ面を引っ叩かれた人は多かったが、2ヶ月という期間は短かったように思う。
 まだ今の社会は、変化を継続するよりも後戻りするほうが楽な状態にあるように思えてならない。せっかく芽生えた変化の兆しが、すべて摘み取られてしまいそう。そうなってしまったらこの2ヶ月間は、疲れるだけの我慢期間でしかなかったことになってしまう。絶対に元に戻してはならない。
 ぼくは、ついさっきまでそう考えていた。
 でも、体重計に乗ったら考えがガラリと変わってしまった。
 この自粛期間で、ぼくは約3kg太っていた。先日衣替えをして出した夏用のチノパンのジッパーが上がらず途中で止まってしまったのは、冬の間に布が縮んだせいではなかったようである。
 2ヶ月で3kgの増量というのは、体重が増減しにくい体質のぼくからすると驚異的な増え方だ。これでは一番太っていた高校生の時と同じである。つまり、顔が丸くなったと言うことを意味する。
 無為な時間の浪費にしか思えない通勤も、ぼくの体型維持に一役買っていたということか。家から出ない半径5m圏内の新しい生活は、脂肪を蓄えるだけだったようだ。通勤もまったくの無意味ではなかったと認めざるを得ない。なんだか、急に電車が恋しくなってきた。