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時を飛ばされた

by 唐草 [2020/05/14]



 いつものように日記を書こうとPCのデスクトップに保存してある「名称未設定.txt」というファイルを開いた。毎日このファイルの中身をすべて消してから、新しい記事を書く。これがここ数年続くのぼくの日課。
 記事のネタはスマホにメモしてある。思いついた瞬間にメモしないとネタなんてあっという間に忘れてしまう。あとから思い出そうとしても、起き抜けに夢を思い出そうとするのと同じで徒労に終わるのが常だ。
 このようにスマホとPCを駆使することで、この駄文は毎日更新を実現している。
 スマホを覗くと、いくつかのネタが並んでいた。上から4番目のメモを見たときぼくは違和感を覚えた。そのネタは5月11日、つまり今週の月曜日に起きた出来事だった。当事者のぼくは必死になって汗を流していたが、その姿を傍から見るとコントのように見えただろう小さな事件の話だ。間抜けな記録だが、他にネタがなければ書いておこうとメモ帳に残していたのを覚えている。
 だが、5月11日に書かれた記事は職場のサーバの負荷試験の記事だった。でも、負荷試験を行ったのは翌日の5月12日火曜日である。5月12日の記事は、5月13日の水曜日に銀行へ行った話になっていた。
 どうみても1日ずれてしまっている。同じ日付で2回投稿された記録もない。
 毎日書いているつもりだったが、どこかで1日抜けてしまったようである。いったい、ぼくが飛ばしてしまったのはいつなのだろう?
 GW前に出社した4月30日の記事は正しく日付と中身が一致している。続きを書いている翌日も大丈夫そうだ。しかし、GWに突入してからは連日ゲームのことしか書いていない。ここでミスが起きていたとしても、もはや確認するすべはない。
 習慣のように毎日キーボードに向かって駄文を書き続けていたのに、抜けが発生していたなんて自分でも信じられない。有名マンガの「催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ」という気持ちが今なら痛いほど分かる。でも、ぼくが巻き込まれたのは時間停止より時飛ばしに近い。そう考えると、このセリフはの引用は適当じゃないな。
 ぼくが書くのを忘れたとは思えない。きっと更新にミスってネットの闇に消えた記事があるに違いない。でも、考えても埒が明かないので5月11日にミスをしたということにして記事と歴史の修正を行おう。