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「10」の読み方

by 唐草 [2020/03/15]



 コンピュータ業界に足を突っ込んでいると、会話の中にどうしても英単語が混じってしまう。異業種の人が「ギットにコミットしたプロジェクトが…」とか言ってるぼくらの会話を聞いたら、意識高い系の人間が背伸びしている会話を耳にしたときのようなむず痒さを感じるに違いない。「コミット」なんて言葉は日々の生活には縁遠いし、ライザップのCMぐらいでしか聞く機会はない。
 ぼくらが日本語では馴染みのない英単語を会話の中に挟んでいるのには理由がある。欧米志向が強いわけでもないし、仲間内だけで通じる言葉を使って排他的なコミュニケーションを取ろうとしているわけでもない。もっと切実な問題がある。
 日本語への翻訳が追いついていないのだ。日進月歩で進化していくコンピューター業界は、次々に新しいものが生まれ、それと同じぐらいいろいろなものが消えていく。じっくり腰を構えて日本語訳を考えて普及に努めている暇なんて無いのだ。時代の流れにしがみついていくためには、ちょっと小っ恥ずかしいと思いながらも要所要所に英単語を挟んだ痛い会話をせざるを得ないのだ。
 必要に迫られ様々な英単語を口にしてきたが、最近時代が一周したと感じる言葉を耳にする機会が増えている。
 それが、"10G"である。
 現在、LANケーブル(RJ-45)で通信できる最高速度が10Gbpsである。これを指すときに"10G"と略すことが多い。読みは「テンジー」である。携帯電話の通信世代を表す"4G"や"5G"と同じ読みである。
 前世代の通信速度は、1/10の1Gbpsだった。だが、これを「ワンジー」と呼ぶことはなかった。このときは、まだメガが馴染みある単位だったので1000Mbpsと書くことが多く、読み方は「せんメガ」だった。ぼくらは1000のことを「サウザンド」ではなく「せん」と読んでいた。2世代前の100Mbpsのときも、100を「ひゃく」と読んでいた。「ハンドレッド」なんて口にした記憶は一度たりともない。
 しかし、3世代前の10Mbpsの頃は、10を「じゅう」と呼ばずに「テン」と読んでいた。これが25年ぐらい前の話である。コンピュータ業界に生きる人々の根底に流れる感覚は、25年経っても変化はなかったようだ。
 ということは、何年後かに100Gbpsの新規格が登場したら、「ひゃくジー」と呼ぶんだろうな。