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信頼できないアイツの仕事

by 唐草 [2020/03/08]



 今朝は、日曜日だというのに起き抜けに職場のサーバへアクセスをしてしまった。日曜日の朝6時にセットした自動処理結果の確認である。仕事と言えば仕事なのだが、それ以上にぼく自身が抱えている不安を消し去るための行動である。パスワードを打ち込んでいるときは、緊張で胃が痛くなっていた。もしエラーが起こっていれば、最悪すべてのデータが消えている可能性だってある。
 黒い背景のターミナル画面にたどたどしい指使いで確認のコマンドを打っていく。コマンドが返してきた結果は、すべて期待通りだった。ホッと一安心、これでいつもどおりの日曜日を過ごすことができる。
 ぼくが先週末にセットした自動処理は、サーバのバックアップを取るためのコマンドである。特殊なことは何もせず、rsyncコマンドですべてのファイルの同期を行うだけである。世界中の多くのサーバで実行されているありふれたバックアップ処理だ。ぼくだって、自分が管理する十数台のサーバでこのコマンドを使っている。
 信頼と実績のあるバックアップ方法を採用しているにもかかわらず、ぼくは不安を拭い去ることはできない。
 それには、ハッキリとした理由がある。コマンドを信頼していないのではない。コマンドを打っている自分を信用していないのである。
 バックアップコマンドは、バックアップを取得するだけでなく、バックアップを復元するのにも利用できる。ちょっとでもコマンドを書く順番を間違えると、バックアップ作業が一転、復元作業になってしまう。特に新規バックアップを作るときは、空っぽのデータで復元を行ってすべてを完全に消し去ってしまう可能性がある。
 だから新規バックアップの作成は、毎回自分で自分の首を切り落としてしまうのではないかという不安に駆られるのだ。幸いなことに、ぼくが恐れている全消しのミスを犯したことは一度だってない。だからこそ慣れが慢心を呼び、取り返しのつかない悲劇に陥るのではないかと不安で仕方がないのだ。
 rsyncコマンド。これはぼくが絶対的な信用をおくコマンドであるが、それを操作する自分は絶対に信用ができない。バックアップのたびに、ぼくの心はこのジレンマに振り回されているのである。