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処理落ちiPad

by 唐草 [2020/02/26]



 リビングに置いてあるiPadで1年ぶりぐらいにゲームを起動したら、目を疑うほど動作が遅かった。フェードインする画像は、透過の変化が段階ごとに確認できるし、グルグル回るはずの読み込み中アイコンは、回っているよりも止まっている時間のほうが長いぐらいだった。アイテムを取得すると一瞬動作が止まるのは、誰の目にも明らかだった。こんなに分かりやすく処理落ちするゲーム画面を見たのは久々だ。
 いったいどうしてこんなにも処理が遅いのだろうか?前に遊んでいたときは、コマ送り状態ではなく快適に遊べていた。休止していた間にゲームはアップデートを重ねて進化していたが、要素が盛り沢山になって重くなってしまったのだろうか?ゲーム的にそうとは思えないし、レビューを読んでも処理速度に関するクレームは見当たらなかった。
 ゲーム側に問題がないのだとしたら、考えられる理由は1つしかない。
 iPadの速度が遅くなっているのだ。
 これは、ぼくの思い込みではない。iPhoneやiPadのOSには、バッテリーが劣化してくると勝手に処理能力を制限して駆動時間を伸ばす隠し機能が搭載されている。このことをユーザに告知していなかったので、アメリカでは訴訟まで発展していたはずだ。我が家のiPadは、買って6年以上経つので処理制限が発動していても不思議はない。
 処理制限機能の挙動は、実に巧妙だった。ある日を堺に急に処理速度が下がったら、多くの人が手の中の端末に疑いの目を向けることだろう。そうならないようにAppleは巧みに機能を織り込んでいる。バッテリーの劣化に合わせて、誰も気が付かないぐらいゆっくりと処理能力を下げていたに違いない。そうでなければ、日々使っているぼくだって処理速度低下に気がついたはずだ。
 まんまとAppleにしてやられた。
 自動パワーセーブ機能が恐ろしいのは、密かに実行されている点だけでない。処理速度制限で遅くなっていれば買い換えを喚起できるというマーケティング効果もある。そして、意図的に遅くされていたものからフルスピードで動く新しいiPadに移行すれば、その差はより歴然となる。買い替え後の満足すら演出できる機能なのだ。
 Appleのやり方は姑息だが、同時に実にスマートでもある。だって、この事実を知ってもなおiPadを買おうと思ってしまうんだから。