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基本の「き」

by 唐草 [2020/02/20]



 2日に渡ってOJT研修に参加していた。ぼくの立場は監督する側。研修の内容は2台のWebサーバ構築である。
 ぼくなら2台同時進行で1日で終えられる。これまでに仕事と趣味を合わせて十数回経験して慣れた作業である。スマホゲームでステージを周回するかのようにこなせる自信すらある。
 ぼくが淡々と作業するのが、もっともコスパがいいだろう。でも、それだと誰も何も成長しない。なにより、ぼくが退屈すぎる。と言うわけで、若者に経験値を稼がせるという口実でOJT研修を設定した。ぼくは別の作業をやりつつ、横目で悪戦苦闘する学生を眺めていればいい。仕事も進むし、面白いものも見られるし最高じゃないか。
 腕に覚えがある学生が集まったので、ぼくが書いた不明瞭な作業メモもスラスラ読み解いて作業を進めていった。それでも順風満帆に進める訳ではない。小さなミスが後で大きな影響を及ぼすこともあったし、バージョンアップでぼくのメモが使えなくなったこともあった。それでも参加者は全員がコンピューターオタクなので自分たちの知識と経験で障害を乗り越えていった。
 ハマっているところを見ていると自分が学生だった頃を思い出す。最善手を理解していないので泥臭くいろんなことを挑戦していたものである。
 作業が最終盤に差し掛かったとき、見たことのないエラーが起きた。プログラムが動いたり動かなかったりするという理解に苦しむ現象に見舞われてしまったのだ。動かないなら常に動かないほうが原因特定は簡単である。結果が安定しないのが一番面倒だ。
 学生たちは、お手上げだった。ぼくも参加したのだが、さっぱり分からなかった。学生とともに思い当たる様々な処置を施すが事態は改善しない。2時間近く思いつく限りの手を試して疲弊しきった後に、ひとりの学生がログを見直そうと言った。
 ログの確認は基本中の基本である。とは言え、ログの内容を読んでも得るものがないことをぼくは学んできた。だが、今回は違った。バッチリ不具合の理由が書かれていた。
 やはり基本を疎かにしてはいけないようだ。今回の研修で一番実りがあったのは、基本の大切さを思い出せたぼくだったのかもしれない。
 なお、エラーの原因は設定ファイルの1文字が余計だったこと。1byteに泣かされた2時間だった。