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殺人樹の下で

by 唐草 [2019/11/26]



 「〇〇の秋」という言葉が氾濫しているが、食欲の秋以外はこじつけにしか思えない。でも、食べるてしまったからには運動したほうが良い。だから、スポーツの秋だけは許してあげて良いかもしれない。秋は気温も穏やかで天候も安定しているので運動に適しているのは、間違いない事実だ。
 転車乗りのとって秋は、油断ならない危険な季節である。秋も深まったこの時期は、もしかしたら一年を通してもっとも危険な季節かもしれない。夏の炎天下に自転車を漕ぐのも危険だが、暑さと日差しで危険の存在を認識できているし、回避の方法も知っている。だから夏に無茶はしない。それは、目の前に猛獣がいると知っていれば慎重に振る舞うのと同じである。でも、秋の危険は不意打ちなのだ。気がついた時には、危険の中に飛び込んでいる。
 ぼくらを悩ませている秋の魔物は落ち葉である。落ち葉の上でブレーキを掛けたり、ハンドルを切ったりすると、まるで氷の上で自転車に乗っているかのように滑る。空転したタイヤが横に滑っていくなんて体験は、そうそうできるものではない。また、木の種類によっても滑り方が変わる。特に危険のがイチョウの落葉。つるつるとした表面と丈夫な葉脈の組み合わせは、ゴムタイヤの天敵である。マウンテンバイクのゴツゴツのタイヤでも敵わない。
 降り積もったイチョウの葉が作る黄色い絨毯は、この季節の風物詩。眺めている分には鮮やかな色が目を楽しませてくれる。でも、上を自転車で通過するとなると話は別だ。黄色いことも含めてマリオカートのバナナと同じように凶悪で邪悪な存在である。ゲームならミスってもクルクル回るだけかもしれないが、リアルだと転倒しかねない。最悪、頭を打てば死に至る即死のトラップなのである。
 ぼくの通勤経路にも立派なイチョウの木が植わっている。イチョウの脇に立つ建物の古さから考えても樹齢50年を超えるであろう大樹だ。風に舞う黄色い扇型の葉は、日本の四季の移り変わりを告げている。
 だが、あの木はぼくを殺しにかかっている。ちょっとでも油断すれば、ぼくは車道に放り出されるだろう。後輪を急に蹴られたかのようにバランスとグリップを失うのは、何度体験してもハンドルを握る腕が凍りつくような恐ろしさがある。この恐怖からすれば、臭い臭いギンナンの実なんて可愛いものだ。

追記
 ログを見たら12年前にも同じことを書いていた。会うたびに同じ話をする「親戚のおじさん化」現象が進んでいる。