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敗者に出会う

by 唐草 [2019/11/14]



 巧みな交渉術と組織の備品管理の穴を突いてゲットした古いノートPC。備品番号には2011年の日付が書かれている。型番を調べたら確かに2011年モデルだった。もう8年も前のPCだ。ぼくは、そんな古いPCをゲットして大喜びなのである。
 もちろん喜びの一部には、タダでゲットできたということも含まれている。でも、それは喜びの4割ぐらいだ。もっと別のことで喜んでいる。
 まず、2011年製であるという事実だ。2011年製のPCということは、我が家でサーバに次いで2番目に新しいPCなのだ。稼働歴10年超えのPCが多い我が家では、8年なんて新人扱いである。
 そしてなにより面白いのは、古いPCには時代を感じられる要素がどこかに潜んでいるからである。
 ぼくはここで何度も「古いPCをリストアして使うことが趣味だ」と公言している。でも、勘違いしないでほしいことがある。PC-98とかx68kとかのレトロPCが好きなわけではない。そこまで古いものには興味がない。ぼくが求めているのは、パーツを換装すれば最新OSを入れることができる範囲のPCに限られる。つまり、ハードだけがレトロでソフトは最新という、能ある鷹は爪隠すという感じのアンバランスさに惹かれるのだ。語りだすと切りがないので割愛するが、ぼくの中だけに存在する趣味の基準というものがある。いくつかある主観基準の中でも比較的分かりやすいが、廃れた規格だろう。
 多くの人がPCの周辺機器なんてUSB接続しか使っていないだろう。ぼくだって、ほとんどがUSBだ。でも、世の中にはUSBに挑んで散っていった規格が山ほどある。そんな挑戦の痕跡が見られるのが楽しいのだ。
 昨日入手したノートPCには、くっきりと敗北の歴史が刻まれていた。
 USB 2.0の次を目指していたeSATAというコネクタが付いていたのだ。多くの人は名前すら知らないだろう。ぼくだって、eSATAの付いたPCに触れるのは初めてである。幻の規格と言って差し支えないようなマイナーさだと思う。内蔵ハードディスクを外付けのように接続できるという野心的なケーブル規格だったが、そんな危なっかしい接続は受け入れられなかったのだろう。
 だが、剥き身のハードディスクが部屋中に転がっているぼくにとっては、最高の規格だ。まさか、こんな形でeSATAと巡り会えるなんて夢にも思わなかった。今回のジャンクPCは、掘り出し物であった。