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謎の破片の正体は

by 唐草 [2019/10/22]



 猫の冬を快適にするフェルト製クッションドームを出したら謎の破片が転がり落ちた話を先日書いた。4cm程度の小さな欠片であるが、その存在はぼくを大いに悩ませていた。柔らかいドームから硬い欠片が落ちてくるなんて、まさに瓢箪から駒である。ミステリアスな出現は、なんの欠片なのだろうというぼくの好奇心を刺激した。さあ、正体を突き止てやろう。
 まずは分かっていることを整理しょう。

・破片は昨冬、部屋にドームを置いているときに紛れ込んでいる
 物置ではドームをビニール袋に入れていたので混入はありえない。

・破片の表面には、指紋の跡と塗装された壁紙のようなものが残っている
 指紋が付いているところから押し付けて設置したように思える。でも、壁紙状のものが何なのか分からない。

・側面は割れたようにザラザラしている
 指紋痕のある表面に比べると荒い側面は、割れたことを示している。陶器より軽く、紙粘土より重い感じなので、硬い樹脂に思える。

・曲面を描いた形状
 全体的な形状は曲面になっている。角を滑らかに見せるような部分に使われていた印象を受ける形状である。

・猫ドームは何度も位置を動かしていた
 日当たりの良い出窓や暖かい空気が下りてくるエアコンの真下などに置かれていることが多かったが、定位置はなかった。だから、場所の特定は難しい。

 破片を指でつまんで眺めていたら、頭の中のモヤモヤがまとまり始めた。
 初めに思い浮かんだのは、小さい頃バナナワニ園の御土産に買ってもらったデフォルメされた2足歩行のワニ型ぬいぐるみ貯金箱。壊れて布製のワニ革が取れてしまったら、円筒形の貯金箱をワニ型に見せるための樹脂の塊が出てきたことを思い出した。20年ぐらい前の話なので絶対に関係ない記憶だ。
 次に思い出したのは、窓に設置する小型クーラーを使っていたこと。窓と本体の隙間を埋めるために使ったパテが、古いキーボードのエンターキーの色を連想させる灰色だった。窓に押し込んだので指紋が付いていても不思議はない。いい推理だが、窓クーラーも5年ぐらい前に撤去している。この可能性もない。
 しかし、建材パテという連想は熱病のようにぼくの頭を支配した。だから、エアコンをすべて調べてみた。
 この推理は大正解だった。リビングのエアコンのダクトと壁の隙間を覆うパテの奥半分が欠けていた。破片と一致する形だった。
 正体が判明してから整理した情報を見ると正解に肉薄していたことに気づく。壁紙っぽいものは、ずばり壁紙だった。ドームをエアコンの真下に置いていたので、破片が飛び込んだのだろう。曲面になっているは、チューブを包んでいたからだ。樹脂製という読みも正解。
 とは言え、これだけヒントがあるのになかなか正解へたどり着けなかった。名探偵へ道は、まだまだ遠い。