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できたり、できなかったり

by 唐草 [2019/09/23]



 初めてマルチタップ対応のディスプレイを見たときの驚きは忘れられない。デモを見て、素直に「未来がやって来た」と確信したものだ。なかでも2本指で拡大操作をしているのを見て「これこそが直感的な操作だ」との感銘を受けた。それまで直感的とされていたマウス操作が、子供だましのチープなデバイスにしか見えなくなった。
 ぼくの衝撃が大きかったのには訳がある。大学でタッチUIの研究をしていたからだ。でも、ソフトウェア方面のぼくが行っていたのはシングルタッチの研究。デバイスが一気にマルチタップに進化するなんて夢にも思っていなかった。そんな下地と思い込みがあったので、ぼくにとってマルチタップ対応ディスプレイの登場は他の人より大きなインパクトがあった。事実、足元がガラガラと音を立てて崩れていくような立場の不安定さを覚えたし、何より時代についていけなかったという焦りがあった。
 あの衝撃から何年が経過したことだろう。はるか昔のぼくの予兆は的中して、時代はマルチタップの全盛期となっている。小さな子供は、ディスプレイ=タッチできるものという認識にさえなっている。この事実は、「画面を直接触るという行為は説明すらいらない真に直感的な操作」だということの何よりの証左だ。
 残念なことにすべての操作が完全に標準化されたわけではない。例えば、iPhoneの3Dタッチ。押す強さでタップの意味を変えていたが、他には普及しなかったし、iPhoneからも消えた。同じように押す時間で機能が変化する仕掛けもあるが、これも生き残るのは難しいかもしれない。普及しない要因は、操作の難しさではないだろう。押し方で機能が変わるリアルな物理ボタンが存在しないことが、受け入れられない最大の要因だとぼくは考えている。
 一方で、徐々にだが普及し始めている操作もある。それが、スワイプによるページ移動だ。iPhoneのSafariはブラウザがこの機能を持っている。この操作が特許なのだろうか?AndroidのChromeには、この便利な機能がない。気を利かせたWebページだと、Javascriptでスワイプ操作をサポートしてくれている。でも、それはほんの一握り。
 おかげで、Androidを使っているぼくはスワイプできない場面で画面をスワイプしてしまうことが多々ある。ページをめくるのと同じ動きのスワイプ操作はとても直感的だ。でも、まだ過渡期。しかも、人は慣れ始めているが、システムが追いついていないというチグハグな状況にある。
 しばらくは、無駄なスワイプ操作をして「あれ?動かないぞ?」とか思う日々が続くのだろう。
 
※このサイトもスワイプ操作には対応していません