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HPは脂肪?

by 唐草 [2019/09/19]



 食べ物が登場するゲームは、山のようにある。その一方で、飢えが存在するゲームは少ない。なぜだろう?
 多くのゲームで食べ物は回復アイテム扱いになっている。幼き日のぼくは、薬草や謎の飲み薬だけが回復アイテムなのだろうと信じていた。ハンバーガーなどのファストフードが回復アイテムのゲームを知ったときは、それまでの価値観が崩れるほど衝撃を受けた。不味そうな草をすりつぶしたであろう緑の苦そうな液体を飲むよりもずっと楽しそうに見えたし、小さい子供らしく「ぼくがマクドナルドでハンバーガーを食べるとHPが回復していたんだ!」とリアルとバーチャルの混同しさえした。
 モリモリとジャンクフードを食べるとたちどころに傷が癒えていく様子は、リアルに考えてみると不気味な話である。HPというのはカロリーなのだろうか?屈強なタンクキャラのHPは豊満な脂肪によって支えられているのだろうか?ゲームの中に現実の要素を混ぜ込むと世界が身近に見える分、世界観の破綻も生じやすい。
 話を元に戻そう。飢えがない理由はなんだろう?
 この問を真正面から考えていても答は一向にわからない。こういうときは逆から考えた方が分かりやすいだろう。
 飢えのあるゲームは面白かっただろうか?
 ぼくが初めて飢えを意識したのは、ローグライクゲームの『トルネコの大冒険』である。餓死しそうになって腐ったパンを何度も食べた記憶がある。
 モンハンのこんがり肉もスタミナをキープするための大切な食料である。飢えという表記はないが、モンハンもれっきとした食事のあるゲームだ。
 最近だと『Fallout 76』で食料を探しながらアメリカ復興を目指している。このゲームは、飢えの他に喉の乾きまで設定されている。
 どのゲームも全然違うジャンルだが、飢えに関しては共通の感想がある。ゲームに餓死という緊張感をもたらしてくれるのは楽しいが、食料確保と摂取はとても面倒だ。武器防具に回復アイテム。それに加えておにぎりやらパンまでも抱えて冒険をするのは、面白さよりも面倒さが前に出てしまう。だから、多くのゲームが飢えの要素を避けているのだろう。
 どうぶつの森シリーズなんかも、食事要素を入れたほうがおままごと感が出るだろう。でも、食材の確保を考えると住民を狩るゲームになりかねない。なにより、おままごとには餓死の緊張感なんて必要ない。