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ランチミーティング

by 唐草 [2019/07/03]



 最近、ランチミーティングの話を聞く機会が増えている。風の噂で流行っていると聞くだけでなく、職場の食堂でミーティングしているグループを見かけることも増えてきている。どうやら意識の高い人々の間での局地的な流行ではないようだ。ぼくのすぐ横までやってきている本当のブームなのかもしれない。
 食事をともにするとより親密になれるとも言われている。いわゆる「同じ釜の飯を食う」仲に近づけるという発想だろう。親睦会とかで飲み会を開催するのが好きな人と同じような発想でランチミーティングをセッティングしているのかもしれない。硬い空気の会議室で終わりの見えない打ち合わせをするのとは異なるものになるだろうというのは、ランチミーティング未経験のぼくでも容易に想像できる。
 こういう潮流を前にしてぼくは、大きいため息をつくのだった。
 「なんて厄介なものが流行り始めているんだ」と。
 ぼくは、飲み会すらあまり好きなタイプではない。仲のいい友人たちとの飲み会ならいいが、初めて会うような人々と親睦を深めようみたいな趣旨の飲み会は勘弁願いたい。
 つまり、ぼくにとって食事とは、とてもプライベートな行為なのだ。仕事から離れてオフを過ごすための貴重な時間だ。上司のオーダーを意識しながら自分が食べるものを注文するなんて肩のこる気遣いはゴメンだ。某グルメ漫画の主人公と同じように『モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……』と考えている。
 その考えからするとランチミーティングは、ぼくの理想とする食事の対極にある。仕事なのか休み時間なのかもハッキリしない。オフの時間のフリをしたオンの時間だ。しかも、気を使わないといけない人々とワイワイ声を出しながらの食事である。一時も気を抜ける瞬間がない。
 こんな状態だと何を食べても美味しくないだろう。ぼくからするとランチミーティングは、己の意識の高さを相手に無理矢理食べさせて満足しているようにしか見えない。
 ぼくは誰にも相手にされていないからひとりで食事をしているのではない。ひとりになりたいからひとりなのだ。そこを勘違いしないでほしい。誰かの孤独を大切にしてあげられる人間でありたい。