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書けないの次の段階

by 唐草 [2019/07/02]



 PCを使っていると文字が書けなくなる。このことはPCが普及し始めた頃からずっと警鐘が鳴らされていた。この鐘は叩かれすぎてもうボロボロだろう。加えてこの20年以上ひっきりなしに鳴らされているので、誰も気に留めなくなってしまっているに違いない。PCからスマホへと時代はシフトしたが、漢字を書くスキルが好転したという話は聞かない。文字を書く機会が減るのと同じペースで、ぼくたちは漢字を書けなくなっているのだろう。
 逆に漢字を読む力が増したなんてことはあるのだろうか?ネット経由でたくさんの文字を見るようになったが、だからと言って難読漢字をスラスラ読めるようになった気もしない。おそらく読む能力はずっと同じ水準のままで、書く能力だけがドンドン低下の一途を辿っているに違いない。
 ここのところ、ぼくは本当に漢字が書けなくなっている。何かを書こうと思っても全然文字が浮かんでこない。だから、急いで書いたメモ書きを後から見返すとひらがなばかりというひどい有様。漢字がないので、後から読み返すのに四苦八苦してしまう。このメモを誰かに見られたら識字障害とかを疑われても仕方がない。
 日に日に頭の中から漢字を書く能力が失われていく。今や小学4年生レベルの漢字すら書けるかどうか怪しい。小学生の頃、受験勉強の一環として満点取るまで家に帰らせてもらえないというシビアなルールで漢字テストを毎日受けさせられていたのにこの有様である。あの厳しかった勉強の成果は、どこへ消えてしまったのだろう?きっと脳のどこかには残っているに違いない。脳の中に漢字データが残っていたとしても書くことを長らく放棄していたので、手を動かすシナプスとの接続が断ち切られてしまったような感覚がある。
 そして、最近ぼくの漢字が書けない状況は、さらに悪化し始めている。
 簡単な漢字なら書けるのだが、書いた結果に自信が持てないのである。今日も「しゅとく」と書こうとして「収得」と書きそうになった。慌てて間違えに気が付き「取得」と書き直したのだが、違和感が拭えないままだった。結局、PCで確認するまでモヤモヤしたままだった。普段あまりにも漢字が書けない状況に陥っているせいで、自分自身に対して疑心暗鬼になり始めているようだ。自分の書いた字を見ても、ぼくが書いたのだから間違っているに違いないという強い先入観が生まれてしまう。
 数年後には、自分の名前すら書けなくなっていても不思議はない。