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by 唐草 [2019/03/29]



 アジア圏では日本製品への信頼が厚いそうだ。ただ、ぼくらが考える日本製品とはちょっと話が違う。ぼくらが日本製品と言ったら日本国内で生産したMade in Japanを意味する。でも、アジア圏での日本製品は生産国は問わないらしい。仮にMade in Chainaであっても問題はない。重要なのは、どこで作ったかではなく、日本で販売できるクオリティーがあることらしい。だから、100均の品でも人気があるそうだ。
 その結果、アジアのマーケットではパッケージに日本語が印刷された偽物の横行してしまっている。Google翻訳よりひどい日本語の書かれたパッケージ。簡体字フォントが混じった見るからに怪しいパッケージ。おもしろ画像としてそんな製品を見たことがあるだろう。もっとも日本でも、製品に書かれた英語の一部は中学生レベルにも満たないものもあるけど…。
 意味なんてどうでもいいのだ。ただ、パッケージに日本語が書いてあることが重要なのだ。たったそれだけで信頼を勝ち得ているらしい。
 先日教えてもらった猫エサのパッケージにはこう書かれていた。
 
 猫は鶏肉
  を使う
 
 どうやら猫用のササミジャーキーらしい。そのキャッチコピーが「猫は鶏肉を使う」である。日本語の文法としては間違っていないけれど、意味的に間違っている感じがする文章である。日本語ネイティブのぼくらには書くことができない独特の魅力さえある。
 だが、ぼくが気になったのは文章の中身ではない。表記である。上で示した2行はパッケージ表記に従った改行である。この2行が一瞬で怪しい日本語に見える最大の要因は、絶対に改行位置のせいである。ぼくらは助詞である「を」の前で改行するような禁則事項を破ることは絶対にない。
 明らかに偽物である改行のおかしいパッケージであるが、ぼくはこの改行を笑えない。ぼくが組んだ英文だって、ネイティブから見たら笑ってしまうような位置で改行しているかもしれないからだ。例を出して考えてみよう。
 "League of Legends"というゲームがある。もし、このタイトルを2行で書く場面に出くわしたらofの前で改行をするべきなのか、ofの後で改行するべきなのかぼくには判断がつかない。日本語的な考え方をすれば、前置詞であるofは格助詞が近い。だとすれば、文頭にあるのは落ち着かないので、ofの後で改行したくなってしまう。この判断がネイティブにはどう見えるのだろう?全くわからない。
 中国の偽物日本語をぼくが笑う。ぼくが組んだ英文を欧米人が笑う。欧米人が喜んで着ている漢字Tシャツを漢字文化圏の人々が笑う。これが笑顔の輪だなんて呑気なことを言ってられれば良いんだけどね。