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地図をめぐる戦い

by 唐草 [2019/03/23]



 ここ数日、Googleマップの地図が劣化したと大きな騒ぎになっている。平日は自宅と職場の間を往復するだけだし、平日も自宅に引きこもっているだけのぼくの生活に地図の必要はない。正直、ぼくにはなんの影響も無い話である。だからと言って、この騒ぎを対岸の火事と割り切って無視しているわけではない。それどころか、実は地図が大好きなので野次馬根性を発揮して積極的に地図のおかしなところを探そうと躍起になっているのである。
 存在しない湖が表示されたり、鉄道の線路の本数が多くなっていたりと致命的な不備も発見されている。ぼくの生活圏の地図では、ニュースになるほど大きな不備は見つかっていない。それでも我が家の裏に巨大なロータリーが出現してしまっている。本来はアパートの周囲をぐるりと取り囲む駐車場なのだが、アスファルトな色と多くの車があることから道と判定されてしまったのだろう。幸いなことに、その誤記は袋小路を作り出しているだけ。このまやかしの表記にナビゲートされて路頭に迷うドライバーはいないだろう。
 一夜にしてGoogleマップが精度を失ったのはどうしてなのか?地図のコピーライト表記から大手地図製作会社の「ゼンリン」の文字が消えていることが答らしい。今まではゼンリンの地図を使っていたが、契約を解消してGoogle自前の地図に切り替えたようだ。その結果が、この大惨事。この衝撃は、数年前にAppleが独自地図でやらかした「パチンコガンダム駅」事件を上回るだろう。
 精度の低い地図など使っていられない。ゼンリンと契約しているYahoo!地図に移行する人が続出しているそうだ。ぼくもその一人である。地図分野で天下を取っていたGoogleマップが、数日でここまで凋落するなんて夢にも思わなかった。Googleマップがすごかったのは、Googleの技術ではなくゼンリンの精度だったということを思い知らされた。
 ゼンリンは老舗の地図メーカーだ。専属の調査員が測量や確認をして地図を作っているらしい。時間はかかるが、圧倒的に正確な地図を作れている。きわめて日本的な職人技的アプローチだ。対してGoogleは、航空写真をAIが読みこんで地図を生成しているらしい。これなら世界中の地図を一瞬で作れるかもしれないが、どうしても精度が下がるしノイズが入ってしまう。自宅付近の細い道のエッジが軒並みガタガタなのは、航空写真の解像度のせいだろう。
 今回の事件は、地図をめぐるAIと人間の戦いである。世界では多くの場面でAIが人間を凌駕する成績を収めている。でも、地図という精度99.9999%ぐらいが求められる分野だと、まだ人間に軍配が上がるようだ。だが、人間が勝利できるのはあと何年ぐらいだろうか?なんだかんだで最後に勝利しているのは、Googleマップなんだろうなぁ。