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深夜の音

by 唐草 [2019/03/17]



 ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ。
 夜、ベッドに入って目を閉じると聞こえてくる音である。音量は小さいけれど、これ以上ないほど規則正しく音は続く。それは、決して止まることのない音なのだ。
 規則正しい音を奏でているのは、ぼくのベットの足の方に置かれたアナログ目覚まし時計。安価なプラスティック製のムーブメントが、プラスチックの歯車を回し、毎秒細い秒針を走らせる音である。
 この音は、24時間365日電池が切れるまでぼくの部屋に鳴り響いている。
 電池仕掛けの時計は、いつだって同じリズムで時を刻んでいる。暑いからといって秒針が早く進んだり、電池を新しくしたからといって力強く針を進めたりすることもない。それなのに、毎晩目を閉じたときに聞こえてくる音が同じには思えないのだ。
 ある晩は、音が鳴っていることに気が付かないほど静かだ。ところが別の晩は、まるでぼくを寝かさないように大きな音を響かせているようにさえ聞こえる。
 もちろん環境音によって音の聞こえ方が変わることはある。とは言え、ぼくの暮らすエリアは時々近くの幹線道路を通る大きなトラックの走行音が聞こえる程度で毎晩静かなものである。それなのになんでこんなにも音の聞こえ方が変わるのだろう?
 時計の場所も、部屋に置かれたものも、周囲の環境も変わっていない。ここから導き出される結論は1つしかない。聞こえ方が変わる要因は、ぼくにある。
 ただ幸いなことに音が気になって眠れないなんて繊細なことはない。入眠にはほとんど影響はないし、寝てしまえば全く気にならず朝までぐっすり眠ったままである。
 音が気になっていると言っているのではないのだ。音が気になる日とそうではない日があるのが、ただただ不思議なだけのだ。何がぼくの聴覚を鋭くしているのか?はたまたその逆で、何かが聴覚を鈍くしているのかもしれない。それがぼくの内にあるストレスなのか、それとも気が付いていない外部の要因なのか?ぼくの枕元で、今晩も小さなミステリーが花開くのである。
 アナログ時計を捨ててデジタル時計に置き換えれば、すべて解決することはぼく自身もよく分かっている。でも、部屋に置く時計は相対的に時間を把握しやすいアナログが好きなんだ。そこだけは譲れない。