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本気で遊ぶ

by 唐草 [2019/02/26]



 時間に余裕があったので職場のHTC VIVE PROを私物だと思い込んで使うことにした。導入以来何度も遊んではいるものの、ゲームで遊ぶことよりもVRを体験することに重きを置いていた。だから、ぼくが家でゲームに向かっているときとは全然心構えが違っていた。
 家で遊んでいるときは、ゲームに集中して他のことは完全にシャットアウトしている。ゾーンに入っているかのような無我の境地に近いと言えば聞こえはいいが、実際は脳の大部分が機能停止しているような惚けた状況でゲームに没頭している。そんなぼくを止められるのは、トイレへの誘いぐらいしかない。
 対して職場で遊んでいるときは、周囲の目を気にしたり、時間を気にしたりと理性を保ったままプレーしていた。何より「VRとはどんなものなのか」という分析的な考えが頭の大部分を占めていた。ようするに、ゲームで遊ぶためにVRを使っているのではなく、VR機器の利点や欠点を分析するためにゲームをプレーしていた。手段と目的が正反対なのだ。
 そんな自分に気がついて、ふと思った。分析的で子供心を失った気分でVRを使っても真髄を理解することなどできるのだろうかと?
 たぶん、できないだろう。変なゴーグルを付けて虚空でリモコンを振っている間抜けな姿を晒したり、勢い余って机や椅子をぶん殴ってしまうぐらい没頭しないと真の没入感は味わえないに違いない。という仮説を口実にしてVRゴーグルをかぶったのだ。
 今日はぼくの大好きなレースゲームをじっくり体験することにした。レースゲームは、体がシートに固定されている状況なので現実とバーチャルの間で起こる身体の不一致が小さい。だから、FPSのようなフィールドを走って、跳んで大暴れするゲームよりVRの相性は良いだろう。また、上下が反転することもないのでフライトシミュレーターよりも脳が混乱する場面が少なそうである。
 シートの初期位置がずれてしまって、後部座先から運転するはめになったり、気がついたら運転席の外に出ていたりと不思議な事も起こったが、それはクリックひとつで治せる些細な問題だ。立体視しているのでコースの奥行きがよく分かるし、コーナリングの際に視線を動かせるのでライン取りもしやすかった。ハンドルコントローラーとアクセルペダルがあれば、本当に車を運転しているような気分になれそうである。ただ、思っていたほど首を動かさなかったのも事実。前を見るのに精一杯だった。
 ゲームは1日16時間までがモットーのぼくだが、20分ぐらいでゴーグルを外した。重くて首が疲れるし、ゴーグルが顔に密着しているので目の周りが汗ばんで蒸れてきて不愉快になってきた。レーサーが被るヘルメットの重さと暑さまで体験させてくれたと好意的に捉えてあげられるほどぼくは優しくない。
 VRゴーグルは快適なゲーム機器とは言えない。それどころか、ゲームには不向きなのではないかという感想さえ抱きつつある。教育とかエンターテインメント以外の分野の方がポテンシャルを存分に発揮できそうだというのが正直な感想である。