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健康体操の初心者とは?

by 唐草 [2019/01/28]



 BSマイナー放送局でよくTVCMを見る紫色の看板の体操教室が最寄り駅にある。体操教室と言ってもオリンピック競技の体操ではない。いわゆる健康体操の類だ。それもダイエットとか筋トレのような1ステージ上の自分にコミットすような体操ですらない。老化防止とか腰痛肩こり改善というのが第一目標として掲げられているような体操教室である。女性をターゲットに絞っているようだが、インスタ映えを狙っているようなキラキラした要素が一切ない。これは体の不調を感じない若い人は門前払いだからなのだろう。
 そんな体操教室の看板に「初心者歓迎」と書かれていた。初心者歓迎の文字は様々なところで見かけるが、この場合の初心者とはいったいどのような人を指すのだろう?「未経験者歓迎」と書いていないところを見ると最低限の体操経験がある人を募集しているのだろうか?しかし、事務のパート募集じゃないんだから経験者限定にする意味が分からない。それに最低限の体操経験って、どれぐらいを意味するのだろう?ラジオ体操をやったことがあるぐらい?それとも我流でヨガとかやっているレベルだろうか?まさかの側転ぐらいは余裕とかのレベル?
 考えてもよく分からないが、つかみどころのない違和感だけがぼくの心に残った。
 「初心者」という定義があるなら、「ベテラン」というものも存在するのだろう。この紫色の体操教室に数年通うとベテランの域に達することができるのだろうか?段位認定とかあったりして明確に階級が分かれていて教室内にヒエラルキーが存在していたりするのだろうか?
 もし、そうだとしてベテランクラスの健康体操マスターってどんなレベルなのだろう?少なくとも跳馬を跳んだり、3回転ひねりでバク転したりする世界ではないはずだ。年金を支給されるぐらいの年齢の女性の皆さんが、それぐらい動けるのならこの国の未来は明るいだろう。明るすぎてまぶしいほどだ。
 加齢による体の衰えを防ぐための健康体操だから何年通っても残念ながらC難度の技を身に付けられるようにはならないだろう。スキルアップを目指すのではなく、現状維持を重視しているはずだ。それこそ老いに負けないために一番重要なことだ。だったらなおさら分からない。なぜ「未経験者」ではなく「初心者」を募集するのだろう?
 やはり、あのビルの中にあるであろう体操スタジオのフロアでは、ぼくの想像の及ばない現実があるのかもしれない。3回転は無理でも1回転半ぐらいの華麗な跳躍をしているという可能性を否定したくはない。