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白い霞

by 唐草 [2018/12/16]



 あぁ、寒い。寒すぎる。12月半ばだというのに気温は、寒さが一番厳しい2月の頭と同じぐらい。関東の冬といえば、乾燥した刺すように冷たい空気と雲ひとつ無い淡い色の青空が印象的だ。昔からこんな空を日本晴と呼んできたのだろうと先人たちに思いを馳せると一桁台の冷たい気温でも許せてしまう。青空には人をおおらかにさせるものがあるのだろう。
 でも、今年の冬はなんか違う。ずっと曇天続きで寒いまま。雪が降りそうな鈍色の空が続いている。いっそのこと雪が降れば、やぶれかぶれで楽しめるかもしれない。残念なことにそこまで思いっきりのいい空模様でもない。降ったとしても迷惑な冷たい雨止まりである。コートの裾は濡れて重くなるし、薄暗い空に心もただ冷えるだけである。
 なんでこんなに寒いのだろうか?「季節だから」の一言で片付けるにはあまりに寒い。天気図を穴が空くほど睨めば答があるのかもしれない。あいにくぼくには天気図を読み解く能力が無いので答は雲の下に隠れたままである。
 今日の寒さを象徴する出来事があった。ぼくが寒さに弱くなっただけではないという確固たる証拠である。
 ぼくのようにメガネを掛けている人間は、電車に乗る時など寒暖差のある場所を移動するとメガネが白く曇る。今朝、自分の部屋を出て階段を降りていたら一瞬視界が白くなった。なんてことだ。屋内なのに廊下に出ただけでメガネが曇るなんてどれだけ寒いんだ。寒さが目に見えたことによって自分を包む空気がより一層冷たく感じられた。
 曇りは晴れたがメガネを拭こうと顔の前に手をやったときあることに気がついた。
 メガネかけてないじゃん!
 えっ、じゃあ今の曇はなに?昨晩、ゲームをやりすぎて起きたときから目が痛いほどの眼精疲労が見せた幻か?いや、絶対に違う。視界が白く霞んだのではない。湯気のように立ち上がった白い靄が霧散していく様をこの目で確かに見た。これはもしかして…。嫌な予感がする。
 口を大きくかけて、ゆっくりと息を吐き出してみた。
 予想通りぼくの口から白い靄が出てきた。そう、家の中なのに吐く息が白いのである。寒すぎるだろうよ。
 前にも吐く息が白かった覚えがある。ここのログを検索してみたら今年の1月に大雪が降ったときに同じようなことを書いていた。ということは、今日の気温と湿度は積雪のあった日と同じぐらいということなのね…。
 どうりで寒いわけだ。今季の冬は厳しい日々の連続になりそうだ。