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エースの成績に笑う

by 唐草 [2018/12/09]



 ネットでおもしろ画像を漁っていたら、思わず「ぐふふ」と声を出して笑ってしまうものを見つけた。おもしろ画像まとめで紹介される画像の7割は把握済みだし、初めて見る残りの3割の中でぼくの琴線に触れるものは極わずか。あったとしても、「ふふっ」と鼻で笑う程度が関の山である。今日見た画像のように笑い声を抑えられないレベルの秀作に出会えるのは、年に数度の貴重な機会なのである。
 ぼくが見たのはパワプロ(何年版かは分からない)のチーム運営モードの契約更新画面のキャプチャだった。
 それは年間35勝を挙げたエースピッチャーの成績表だった。年35勝というのは、現代の野球だと驚異的なスコアである。プロ野球記録を確認してみたが、歴代7位タイのスコアだった。それも肩のケアとか考えない1960年代の記録である。今のプロ野球だったら先発ピッチャーなら年間登板数が35試合でも多い方である。
 これだけだとただのすごい記録の画像でしか無い。この時点ではピクリとも表情筋は動いていなかった。
 でも、負けた数を見た瞬間に声が出てしまったのである。なんと108敗もしているのだ。さらに追い打ちが続く。年間登板イニング数が1200回を超えていた。
 もうダメだ、カオスすぎる。プロ野球なんてほとんど興味がない。その証拠に今年の日本一がどこか知らないのだ。そんなぼくでもこの数字のおかしさはすぐに分かる。ようするに1年間の全試合を1人で投げきったということなのだ。現実じゃ、絶対にありえない。
 自分でも、この画像の何が声を出して笑うほど面白いのか全然分かっていない。でも、ダメなんだ。今思い出しても笑いがこみ上げてくる。
 35勝は凄まじい成績である。一方で108敗は最悪な記録である。しかも人類が未だ達成したことのないレベルの最悪さである。勝敗の数字の中で最高と最悪が同居している。
 全試合を1人のピッチャーに託してしまうチーム運営の頭の悪さにも笑ってしまった。だが、それを成し遂げられてしまう強靭な肉体を持っているピッチャーがいなければ、その頭の悪い行為は成り立たない。ゲームの中とは言え、ここでも最悪と最高が横並びにある。
 契約更新では7億円が提示されていた。35勝1200イニング登板投手としたら妥当な額かもしれない。だが、108敗の戦犯でもある。それが強気に要求しているアンバランスさがある。
 1つ1つはまったく面白くない。つまり面白いから笑ったのでは無い気がする。いくつもの最悪とそれと同じ数だけの最高が並んでいて、ぼくの脳が良し悪しを判断できずに混乱した。その結果、笑いという発露に至ったような気がする。そう、ぼくはカオスな状況に弱いのだ。