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ようこそウエストバージニアへ3

by 唐草 [2018/11/17]



 『Fallout 76』冒険日記 その3
 
 ゾンビ映画でショッピングモールに立てこもるという展開はお約束である。実際にはショッピングモールを舞台にしたゾンビ映画は多くないかもしれない。でも、そんな統計的事実なんて一切合切無視できる魅力がある。これはある意味で「戦隊モノの黄色はカレー好き」という誤解と同じようなものだろう。
 ショッピングモールなら何があっても不思議じゃない。イオンモールのような日本のショッピングモールだって、スポーツ用品店かアウトドアショップが入っていればバットやゴルフクラブ、登山用のストックといった武器になりそうなものが容易に手に入る。格闘技の心得があれば雪渓用のアイゼンを身に着けて蹴りで戦うのも悪くないだろう。日本でこれなんだから、更に規模の大きいアメリカのショッピングモールなら何だって手に入るだろう。
 「アメリカなら銃も売っているから心配ないね」なんて現実的なことを言うつもりはない。ショッピングモールでの対ゾンビ戦の醍醐味は、やはり創意工夫にある。弱者が戦略戦術を駆使して劣勢を跳ね除ける姿ほど盛り上がるものはない。きっとアメリカの広大なショッピングモールならどんな作戦にも応えてくれるだろう。そんな期待が彼の国のショッピングモールにはあるに違いないという幻想がぼくの中にはある。
 対ゾンビ戦のことを考えるとついつい武器のことだけを考えてしまう。でも、ショッピングモールでの戦いは籠城戦として描かれることが多い。ならば、まずは守りを固めるところから始めたほうが良いだろう。
 だとすれば、一番最初に手にするべきアイテムは何だろう?
 要塞のような場所を作るためのノコギリやカナヅチといった大工道具だろうか?それとも不意打ちを避けるために暗いところを確実に照らす懐中電灯だろうか?はたまた、缶詰などの保存が効く食料だろうか?
 日本のショッピングモールだったら上記のどれから始めるか悩ましいところである。でも、アメリカのショッピングモールだったら迷う必要ななにもない。
 一目散に銀色のダクトテープを確保するべきだろう。武器などの身に付けるものの改造や部屋の補強、秘密兵器の開発まであの銀色のテープがあれば何だってできるはず。これこそ一般人から航空宇宙産業までもがダクトテープに信頼を置く理由だろう。
 ダクトテープへの信頼は、世界が滅んでも変わらない数少ない価値観かもしれない。少なくとも核戦争後のウエストバージニアをさまよい歩くぼくは、何よりもダクトテープを求めている。食べ物、飲み物、ダクトテープ。これがポストアポカリプスの世界を生き抜くための三種の神器であることに疑いの余地はない。