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ミミズク

by 唐草 [2018/10/22]



 先日、イギリスのTV番組を見ていたらセットの背景に気になるものがあった。番組とは無関係だと思われる黒いミミズクのようなぬいぐるみが置いてあった。生活感を演出するだけの小物だったのかもしれないけれど妙に惹かれるものがあった。小さな子供が描いたようにくいびつな体で左右の目の大きさが不揃いだったりとアンバランスな造形なのだが、奇異なものには見えなかった。むしろアンバランスさが独特の雰囲気を醸し出していた。
 いったいあのミミズクのぬいぐるみは何なんだろう?
 好奇心に駆られたぼくは、番組そっちのけで検索を初めた。
 どんな単語で検索すればいいだろうか?「イギリス ミミズク ぬいぐるみ」だろうか?いや、日本語で検索してもダメだ。日本にある数多くのフクロウぬいぐるみの中に埋没してしまい絞り込めないだろう。英語で検索したほうが正解への近道のはずだ。
 "UK owl doll"で検索しようとした。
 いや、ちょっと待てowlじゃフクロウだ。ミミズクで絞ったほうが、より正確な検索結果になるだろう。えーと、ミミズクを英語にすると…。なんだっけ?
 ぼくの頭の中にある英語辞書は中学生も満足させられないぐらいに内容が薄い。日常会話で使用することのないミミズクなんて単語は収録されていなかった。
 自分の英語力の乏しさに呆れながらも、Google翻訳があるから良いんだと開き直る。
 ミミズクと打ち込んで出てきた単語を検索欄にコピペして検索ボタンを力強くタップした。
 画面に表示されたのは、薄オレンジ色の長くて細い妙なキャラクターだった。
 これ、ミミズじゃねぇか!
 思わず一人ツッコミを決めてしまった。
 Google翻訳は「ミミズク」を"Earthworm"と訳していた。「ミミズ」の部分だけを拾ってしまっていたようだ。使えない翻訳である。
 誤訳がまかり通ってしまっている状態はよろしくない。精悍な猛禽類を見ようと目を輝かせながら検索したのに地面を這う細長い生き物が画面に表示されるなんていう悲劇を繰り返してはいけない。ここはぼくが翻訳修正を申請すべきときなのだ。
 という訳で、全力でミミズクの英語を探した。様々な鳥類図鑑や翻訳例、Wikipediaなどを参考にして答を探し求めた。
 ついに見つけたぞ。ミミズクの英語は、owlだ!
 英語圏では、フクロウとミミズクの区別をしないらしい。なんてこった!一番最初に検索しようとしていたワードで良かったのかよ。なんだか苦労の末振り出しに戻ってしまった気分である。
 なお、"UK owl doll"で検索しても、ぼくが求めていたぬいぐるみの情報は出たこなかった。骨折り損のくたびれ儲けである。