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ガムを買いに

by 唐草 [2018/09/29]



 ぼくが軽いガム依存症であることは何度も書いてきた。顎を悪くして以来、極力ガムに頼らないように努力はしている。でも本気で集中した時には、どうしてもガムに手が伸びてしまう。咀嚼運動は集中力を高めるとも聞いたこともあるが、ぼくがガムに頼ってしまうのは別に理由がある。パブロフの犬的な条件反射に近いものを感じている。つまり、ガムを噛んで集中するのではなくて、ガムを噛んでいる自分は集中できていると思いこむような状態である。ある種の自己暗示とも言える。
 大学で授業以外の仕事をすることもある。場合によっては、プログラムを書いたりと普段以上の集中力が求められる仕事もある。そういう作業に従事するときは、ガムの力を借りたくなる。
 先日、あいにくガムを切らしていたので大学のコンビニへとガムを買いに行った。
 大学のコンビニは、全国どこにでもある大手チェーン店である。でも、街中にある一般的な店舗とは少し様子が違う。利用客の大多数が大学生に限られているので、商品ラインナップが若者向けに特化されている。TVCMで盛んに宣伝しているチルドのお惣菜とかはほとんど置いていない。その代り、期間限定の変わり種カップ麺なんかは文字通り棚を埋め尽くすぐらい陳列されている。先日も、黒と赤のパッケージが禍々しい激辛ペヤングが山のように積まれていた。あと、iTunesとかGoogle playなどのプリペイドカードのコーナーが普通の店舗の2倍以上あるあたりに現代の大学生の闇が垣間見える。
 そんな若者向けの商品ラインナップは、干支一周以上年齢の違うぼくにはあまり刺さらない。おじさんが欲しいのはガムだけだ。
 改めて店内を歩き回ってみるとお菓子の棚の充実ぶりに驚かされる。コンビニというよりも駄菓子屋という方が適切に感じられるほどである。スナック菓子類が一番いい場所を陣取り、その脇を飴やグミなどが守っている。なかなか層の厚い布陣である。出勤したときはほぼ毎日利用しているコンビニだが、ここまで真剣にお菓子コーナーを眺めたのは初めてである。商品数の多さに目を奪われ、ガムを見つけられないまま店内をぐるりと一周してしまった。
 だがぼくはこの後、手ぶらのまま2周コンビニ内を周回することとなった。お菓子コーナーを憔悴した表情でグルグル周る姿は、かなり危険な雰囲気だったことだろう。
 店内を合計3周して至った結論は、ただ1つ。
 このコンビニにはガムが売っていない!
 予想すらしていなかった驚きの結論だが、目の前の事実を認めないわけにはいかない。それにしても、なぜガムが売られていないのだろうか?授業中にクチャクチャとガムを噛み続けるうるさく無作法な学生を減らすためだろうか?それとも噛んでいたガムをその辺にペッと吐き捨てるマナーのない学生への対策なのか?
 ぼくの授業でならガムを噛んでてもいいから、ガムを売ってくれ。そんな我儘な思いは通じないだろう。失意のぼくは、不本意ながらノド飴を手にして店を後にするのであった。