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通な食べ方

by 唐草 [2018/09/28]



 少し前に「コロッケにはソースが常識」というようなことを書いた。そして、同時になぜ我々はコロッケを目にすると反射的にソースをかけてしまうのか?それは本当に正しい選択なのか?と常識に対して疑問提起も行った。
 前回も書いたが、自称食通の方々は塩が好きな印象がある。そんな人々の前で間違っても「タレが美味い」なんて言ってはいけない。一度でもそんなことを口走ってしまったら奴らは鬼の首でも取ったかのように持論をまくしたてる。人のことを馬鹿舌扱いしてきて、塩がいかに素晴らしい調味料であるか、さらには塩を用いることで資材の味をより理解できるようになるとか際限なく喋り続けてくるだろう。自分たちが排他的な主張を繰り広げることでどれだけ食卓の雰囲気が壊れてしまうのかなどは考えてもいないようだ。そんな連中の発言を聞くたびに彼らの口にありったけの塩を詰め込んでやろうかと思ってしまう。
 焼き鳥、とんかつ、スイカ。ありとあらゆるものに塩を振って食通を気取る。口を揃えてバカの一つ覚えのように「素材の味が」とか言う。そんな連中でも、なぜかコロッケに塩を振っている姿を目にしたこともなければ、風の噂にコロッケに塩という話を聞いたこともない。
 なぜなのか?
 考えられる理由は2つある。
 1つ目は、恐ろしくまずいという可能性。いくら塩が味を引き立てると言っても万能ではないだろう。ショートケーキに塩は振りたくはない。それと同じように100人中95人ぐらいが美味しくないと口にしてしまう確実なまずさを実現してしまうという可能性が考えられる。
 もう1つは、誰もがソースで良いと現状に満足しているので、いまだかつてチャレンジした人が極めて少ないという可能性。常識が目を曇らせ、すぐ手が届くところにある新たな可能性が見えていないパターンである。
 どちらだろうか?
 ハッキリ言ってこんなことを考えるために時間を費やすのは無駄である。四の五の言う前にコロッケに塩を振りかけて食べれば、簡単に答へとたどり着ける。
 という訳で、コロッケに塩を振って食べてみた。
 ぼくがコロッケ用に選んだ塩は、粒の大きなシーソルト。大きな粒がコロッケの衣に引っかかるかと思ったのだが、ぼくの目論見は見事に外れた。振りかけた大粒の塩は、衣の上を跳ねるように転がってコロッケの上からこぼれ落ちてしまった。コロッケに塩を振るなら精製塩のように細かいほ方が良いという新たな知識を手に入れた。
 さて、肝心の味である。
 コロッケの具にすでに味がついているので塩を振るとくどくなるとぼくは想像していた。この予想は、良い意味で裏切られた。塩コロッケは、ともて美味しかった。ソースで食べるときよりもずっと優しい味に感じられた。スパイシーなソースだと衣の味も具材のじゃがいもの味もソースが覆い尽くしてしまう。でも、塩だと衣はサクサクのままだし、何よりもジャガイモの甘さを感じることができた。
 そう、素材の味が感じられるのである。あぁ、ぼくも塩は素材の味信者になってしまったようだ。塩は危険な調味料である。