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気象警報のジレンマ

by 唐草 [2018/08/29]



 ゲリラ雷雨に見舞われた月曜日の夜8時頃。排水能力を上回る豪雨に見舞われ水に沈んだ地区もあれば、予想不可能な落雷に襲われ闇に沈んだ地区もあった。幸いにも我が家は、雨漏りを含めたいかなる被害も被らずに済んだ。雨雲の動きなど、まさに「神のみぞ知る」ものなので我が家周辺はラッキーだったとしか言いようがない。
 ゲリラ雷雨が傍迷惑な最高潮を迎えていた時、ぼくはのんびりとBS放送を見ていた。激しい雷鳴は、防音効果の高い二重窓を突き破って伝わってきていた。音と光で雷を感じていたのはもちろんだけれども、別のもので雷雨の激しさを目の当たりにしてもいた。
 それが、BS放送に入るノイズである。
 BSデジタル波は、多少の雨には負けない優秀な電波である。とは言え、遥か上空の人工衛星から降り注ぐ電波は、少なからず雲の影響を受けてしまう。普段の雨であれば難なく突破できる雨であっても、激しくなるとデータの一部が欠損してしまう。その結果、映像が正しく表示されなくなってしまうのである。
 月曜日の雨も衛星放送を邪魔するに十分な勢力があった。たびたびノイズが入り、映像が途切れてしまったりもした。
 番組を見ている間に、何度も気象警報が表示されていた。でも、本当にその情報を届けるべき場所では、分厚い雲によって通信が阻害されていた。本当に届けるべき人の元へ情報は届いていなかった訳だ。
 せっかく人工衛星から警戒情報を発しているのに届かない。完全にテクノロジーが空回りしているようである。
 普段、ぼくたちはテレビやラジオ、電話網にインターネットなどをまるで空気を吸うかのごとく利用している。緊急の情報を伝える際にも、それらの技術を利用しようと考えてしまう。でも、技術を支えるためにどんなものが必要なのかもわかっていない。本当に危機が迫っている時、いつもの情報手段は多分動いていないということを考えてすらいない。
 東北の大震災のときも震源地に近いエリアは停電が続いていたため状況を客観視できない状態が続いていたと聞いた。今回の雷雨だって停電が起きてしまったので、本当に注意喚起が必要な場所ほど情報にアクセスできないでいた。
 既存の警報が無駄だとは思っていないけれど、十分だとも言えないなと感じた今日の雷雨。電気に頼らない確実な伝達手段を考えておく必要があるのかもしれない。