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カラクサラボ出張所を作る

by 唐草 [2018/06/06]



 サーバ寄りのWeb開発案件を請け負うことの多いぼくは、発注側からすると都合のいい開発者なのだろう。自前で作るには骨が折れるが、企業に発注するほどの予算もない。だからと言ってクラウドソーシングだと能力に不安があるし、後々の改修まで契約できないかもしれない。そんな微妙な案件をコネとハッタリでかっさらってぼくは食いつないできた。信頼とスケールの隙間産業とでも言ったところだろう。
 そんなスタイルで仕事をしているので、契約先の一部からそれなりに開発力があるとみなされている感がある。そう思われるのは悪くはないが、すごいのはぼくの検索力でしかない。Google先生とその他大勢の技術系のブロガーのおかげでしかない。
 膨大な検索によってぼくが今まで溜めてきた技術的な情報とそれを実行する環境は、すべてこのサーバの中に整っている。一般的なLAMP環境をぼく好みに少しだけカスタマイズしたものである。この環境が無ければ、ぼくはなにも開発できない。カラクサラボサーバは、謂わばぼくの外部記憶装置であり、同時に分身でもある。
 新しい契約先でも開発に近しい能力を求められている。だが、そこにカラクサラボサーバはない。一応リモートログインでカラクサラボにアクセスすることは可能だが、外部からのアクセスだと制限がかかるのでフル機能を活用することが難しい(というか面倒)。このままでは、ぼくは期待されている能力を発揮することができない。まるで片腕を縛り上げられ、度の合わないメガネをかけさせられているようなもの。これでは、いたずらにコーヒーを消費するだけで何の戦力にもなれない。
 ついにハッタリがばれて、化けの皮を引きはがされて、無能の烙印を押されてしまうのかと震えていた。
 そんな時、ふと足下を見たらDellのタワー型サーバマシンが転がっていた。幸運にも未使用でOSすらインストールされていない。ふふふ、これはまさしく天からの贈り物だ。Centosのインストールディスクをぶち込んで、カラクサラボ設定手順が書かれた秘伝書を読みながらサーバをセットアップしていく。
 果てしなく続くyumコマンドの繰り返しの果てにカラクサラボのクローン環境が完成した。これさえあれば、ハッタリがハッタリで無くなるのだ。カラクサラボ出張所絶賛稼働開始である。

※しっかり仮想化してどこへでも移行できるようにしておけというツッコミはなしでお願いします。