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聞いたことのない叫び声

by 唐草 [2018/06/05]



 30度近くまで気温が上昇した昨日は、日が沈んでからも半袖半ズボン以外の服装が考えられないほど暑いままだった。当然、家中の窓は網戸だけにして開け放たれていた。
 夜風に混じって耳馴染みのない甲高い音が聞こえてきた。その瞬間、我が家のネコたちに緊張が走った。あるネコは、臨戦態勢さながらに全身の毛を膨らませた。別のネコは、脱兎のごとくベッドに下に潜り込んだ。
 ネコがこれだけ緊張するということは、この音の正体はネコの喧嘩の声だろう。我が家のネコは、外に出ていないので無事である。だが、我が家の周囲には何匹かの猫がウロウロしている。時に鉢合わせて盛大な喧嘩を繰り広げることもある。
 ぼくの趣味のひとつにネコの喧嘩の仲裁がある。仲裁とはあくまでぼくの主観的な解釈に過ぎない。ネコからすれば、縄張り争い中に余計な人が割り込んで邪魔をしたとしか思ってはいないだろう。ネコがどう思おうとぼくには関係ない。自然の成り行きに任せて喧嘩を放っておくと、どちらかのネコが致命傷に近い傷を負うことになりかねない。見知らぬ野良猫だろうと、傷を負うことは不本意である。だから、ぼくはネコの喧嘩の声を耳にするとLEDライトを片手に家を飛び出すのだ。
 外に出ると西にある駐車場の方から声が聞こえてきた。その声は、ぼくがイメージするネコの声よりずっと甲高い。
 すごくイヤな予感がする。
 これは、喧嘩の声というよりも子猫の悲鳴に近い。最悪のパターンを脳裏に描きながら声のする方へ近づいていく。
 声は駐車場のフェンスの向こうから聞こえていた。注意深くライトを向ける。ネコの姿を確認できなくても、そこにネコがいれば目が光る。あとは、手を叩くなりして脅せば喧嘩は終わる。さっさと片を付けてしまおう。
 駐車場の奥にある住宅に明かりを向けたとき何かが動いた。一方は、住宅の闇の中に消えていった。もう一方は、明かりに照らし出されて道路の方へ退いた。
 その姿を見て、ぼくは言葉を失った。
 長い鼻、短い足、太い尻尾。どう見てもネコじゃない。イタチか?イタチが子猫を襲っていたのか?
 まばたきする間もないほどの硬直の後、イタチと思われる影は別の方向へと消えていった。その後は喧嘩の声もしなかったので、仲裁はうまくいったようだ。負けていた方に怪我がないことを願うばかりである。
 今朝、ネットでイタチっぽい動物を色々調べて見た。イタチっぽいシルエットの正体は、どうもハクビシンのようだった。しばらく注意が必要そうである。