カレンダー

2017/12
     
      

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

変わりかりんとう

by 唐草 [2017/12/24]



 先日、かりんとうを頂いた。ぼくの好物である。だが、手放しでは喜べないでいた。
 タイトルにあるように変わりかりんとうだったのだ。かりんとうなんて伝統の味を淡々と守ってくれていればいいのに、なぜいらぬ冒険をしてしまうのだろうか?
 頂いたかりんとうは、3袋。それぞれ、野心的で冒険的な他では見ない味が書かれていた。
 「コーヒーかりんとう」
 「レモンティーかりんとう」
 「スイートポテトかりんとう」
 思わず目を疑いたくなるような組み合わせである。他で類を見ないのは、誰もが思いつかない斬新な組み合わせであると言うよりも、あえて冒険する必要性を感じないが故に世の中に出ない組み合わせという趣が強い。
 いったいどんな味なのだろうか?好奇心が湧き上がるのと同時に脳と胃袋が危険信号を発している。だが、過去に「レモン餡ダンゴ」などのB級グルメにチャレンジしてきたぼくが、たかだかかりんとうに怯むわけもない。臆することなく1袋ずつ食べてきた。
 最初に食べたのは「コーヒーかりんとう」。1本食べた感想は、「苦い」の一言であった。砂糖をたっぷり入れた苦いコーヒー味。そんなイメージだ。でも、このコーヒー風の味はどこかで食べたことがある。初めてには思えない。必死に味の記憶の引き出しを引っかき回した結果、ついに思い出した。この味は、駄菓子のコーヒーキャンディーの味なのだ。甘さと苦さの中にほんの少しだけ香ばしさを隠し味に加えてコーヒーのフリをしているあのキャンディーの味で間違いない。とても駄菓子なコーヒー風味。それが、コーヒーかりんとうの正体だった。ベタベタの甘さとストレートな苦さの組み合わせは、なぜか癖になる。
 次に食べたのが「レモンティーかりんとう」。1本食べた感想は、またまた「苦い」であった。でも、コーヒーかりんとうの苦さとは違う。渋みに近い苦さである。かりんとうの表面を見ると青海苔のような黒いカスが付いている。きっと紅茶の茶葉の成れの果てだろう。ダイレクトにタンニンの苦さが舌に広がる。渋さと同時にケミカルなレモンの味が口に広がる。香りの飛んだ渋さと嘘くさいレモン風味。この組み合わせも、どこかで経験したことがある。そうだ、午後の紅茶レモンティーの味だ。うーむ、レモンティーかりんとうも、やはり駄菓子的だったのか。
 最後に残った「スイートポテトかりんとう」。まだ食べていないが、きっとこれも駄菓子的な安っぽさと偽物感のある味なのだろう。今から楽しみである。