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Google Car

by 唐草 [2017/08/07]



 1円にもならない仕事をするために大学まで足を運ぶこととなった。ゆるい仕事なので時間もルーズ。なんとなく開始時間は決めていたけれど、終わりはサッパリ決まっていない。まったく、この暑い日に勘弁してほしい。
 普段とは違う時間の電車に乗って大学へ向かう。学校はまだ試験期間なので学生は、いつもと同じぐらいいるようだ。夏休みの気配はまったくない。
 台風が近づいてきているので雲の流れが早い。夏らしい容赦のない日射しが濃い影を作るときもあれば、太陽が影に包まれ蒸し暑さだけが残るときもあった。スクールバスの中は、そんな移り変わりの激しい天気とは無縁だった。若い学生で満車になったときを想定した強冷房が、車内を冷蔵庫のように冷やしている。快適な涼しさを越えて、どちらかと言えば肌寒いに近い状態となっている。
 暖かさを求めて窓ガラスに張り付くように座っていた。
 車内から交差点に目を向けると奇妙な装置を付けた車が信号待ちをしていた。
 一瞬だけ考えてしまったがすぐに分かった。
 ルーフに大きなゴルフボールのようなものを載せたその車は、間違いなくストリートビューを撮影しているGoogleカーだ。
 初めて見た。
 ストリートビューのサービスが始まって何年になるのだろう。自宅の前だって撮影されている。ぼくだって何百回とストリートビューを利用している。でも、撮影している現場に遭遇したのは初めてだ。
 もし、車外にいたらGoogleカーに向かって手を振っていたかもしれない。でも、あいにくバスの中。これじゃあ、写っていないだろうなぁ。この通りのストリートビューが更新されるのはいつになるだろう。もし、バスが写っていたらその中にぼくは乗っている。