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とりあえずムヒで

by 唐草 [2017/07/22]



 肌の弱いぼくは、夏になると毎年汗疹に悩まされている。オッサンだけどベビーパウダーが欠かせない。
 起きている時は、こまめに汗をぬぐったり、冷房や扇風機をうまく活用して汗をかかないように気をつけている。問題なのは、眠ってからだ。寝ている時は、汗をぬぐえない。扇風機や冷房を動かしたまま寝てしまうと寝冷えしてしまうので、消さざるを得ない。その結果、夜中に汗疹が痛痒くなって目が覚めてしまう。ここのところ、このパターンの繰り返しで眠りが浅くなっている。
 かゆみで目が覚めた時にどう振る舞うべきなのか?
 理想を述べるのであれば、シャワーを浴びて汗を綺麗さっぱり流して、もう一度ベビーパウダーを付け直す。
 だが、これは所詮理想だ。眠くて目が開けられないような状況でシャワーを浴びることなんてできない。そんなことをしてしまったら、目が冴えわたって眠れなくなってしまう。
 だから対処療法でしかないがかゆみ止めを塗って一時的にかゆみを抑えている。これで、つかの間の安眠を確保できる。対処療法だが、これが一番現実的なのだ。
 今日もかゆみで目が覚めてしまった。いつものように目を閉じたままベッドサイドをまさぐってかゆみ止めをさがす。ところが、どれだけ手を振り回してもかゆみ止めのチューブが指に触れることはなかった。どこか別のところに置いてしまったのだろうか?
 さらに手を動かしていたら探しているかゆみ止めとは別の容器が手に触れた。丸くつるんとした硬いボトル。これは、液体ムヒの容器だ。
 虫刺されに特化しているが、ムヒもかゆみ止めだ。塗れば汗疹のかゆみも抑えてくれるかもしれない。後先考えずに、ムヒを手に取り汗疹がひどい首筋に塗った。
 冷たい爽快感とともに激痛が襲ってきた。かきむしった肌に刺さるようにしみた。かゆみは、弱い痛みらしい。強い痛みに襲われることでかゆみは感じなくなったが、こんな荒治療を求めていたわけではない。
 すっかり目が覚めてしまった。