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キッズ襲来

by 唐草 [2017/07/21]



 朝食を食べていると、真剣な眼差しで外を見つめる猫の姿が目に入った。
 我が家では、猫を室内飼いをしている。本心としては、外に出して元気いっぱい走り回って、小鳥や虫を惨殺して、縄張り内に穴を掘ってウンコをしてもらいたいと思っている。でも、その願いは、もう過去の幻想でしかない。20年ぐらい前の環境を今でも追い求めているだけだ。今では、交通量が増えて危険がいっぱいだし、畑も無くなってしまったので走り回ることも狩りをすることもできない。だから、室内飼いしか選択肢は無い。
 室内で飼っていても猫は外に大きな興味を持つ。今日は、文字通り首を長くして外を見ている。毛の具合、耳の角度、目の大きさからすると明らかに警戒をしている。何か危険な存在を見つけたのだろう。
 猫が見ている方に目をやると、蛍光緑の塊が右へ左へと忙しなく動いていた。
 小学生だ。サッカーのユニフォームかと思うような色のTシャツを着た見知らぬ小学生男子が、走り回っていた。モンスターボール柄(正確には、ネストボール?)のビーチボールを投げたり蹴ったりしながら走っている。これは確かに脅威だ。油断したらゲットされてしまう。
 猫にとって小学生は、悪魔のような存在。獣に通じる不規則な動きで甲高い叫び声を上げている存在としか猫の目には映らないだろう。猫を外に出していたときは、うちの猫もよく追いかけ回されていた。室内飼いで追い回された経験が無いはず(我が家が引き取る前は野良だったので経験はあるのかもしれない)の我が家の猫も、ガラス越しに小学生を警戒している。きっと、本能がそうさせるのだろう。
 それにしても、なんで袋小路にある我が家の前を見知らぬ小学生が走っているのだろうか?
 あぁ、そうか。夏休みか。隣家の祖父母の元へ遊びに来たのか。
 ぼくは大学に勤めているので、一般的な社会人よりもずっと長い夏休み(収入無し)を得ている。それでも、まだ自分の夏休みは始まっていない。見知らぬキッズの到来を目にして、初めて夏休みがやってくる季節が訪れていたことを理解した。