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爽やかへの道

by 唐草 [2017/02/04]



 先日、「外に出る仕事が無い時期なので、ヒゲを剃っていない」というようなことを書いた。
 剃るのが面倒なので剃っていないだけで、オシャレで伸ばしている訳ではない。まさに無精の結果であり、ただただ見苦しいだけである。ヒゲが似合う深みのある顔立ちならばまだ一縷の光がさしたかもしれない。残念なことに現実は残酷だ。鏡がぼくの顔を映すことを拒んでもしかたないような有り様である。
 伸ばしたくて伸ばしているヒゲではないので、剃ることに抵抗がないのもまた事実。肌の調子も良いようなので、ここらで1回剃っておこう。そう決意して、ひげ剃りを握った。
 ぼくは、いわゆるT字型ひげ剃りを使っている。
 電動ひげ剃りで手軽に剃りたいところなんだけれども、電動ひげ剃りで剃るとカミソリ負けで顔が真っ赤になってしまう。乙女も呆れるほどにか弱い肌が、回転刃に完敗するのだ。高級機種を買えば症状もマシになるのかもしれないが、T字型ひげ剃りで事足りているので現代テクノロジーがどうなっているのかを確認してみようという気にはなれない。
 自分の顎を触りながら、しみじみと考える。ここまでヒゲが伸びてしまったのは初めてかもしれない。
 いつものように蒸らしたりと下準備をして剃りはじめたが、どうも様子がおかしい。明らかに痛いのだ。ただ、顔は不健康そうに青白いままで、流血している様子は見られない。
 カミソリ刃が刃こぼれでもしているのだろうか?
 握っているT字型ひげ剃りの刃先を見て絶句した。
 二枚刃の隙間にヒゲがびっしりと詰まって、不揃いなブラシのような状態になっていた。つまり、ぼくはヒゲを剃っていたのではなかった。自分のヒゲで頬を引っ掻いていたらしい。それじゃあ、痛いはずだ。
 どうもT字型ひげ剃りで剃れるヒゲの総量を超えてしまったが故に起きた事故のようだ。ひげ剃りをこまめに洗いながらのシェービングとなってしまった。面倒だし、時間はかかるし最悪だ。爽やかな顔への道は、ぼくには険しすぎる。